太田市美術館・図書館見学 |
設計は平田晃久建築設計事務所の平田晃久さんです。
東武伊勢崎線太田駅は1日あたり1万人を超える方が利用しています。しかし、駅前商店街は車社会の影響により、通過動線となってしまったため、かつての活気が失われています。
(駅前の様子)
この計画では駅前を単なる通過動線としないために、滞在させる「からまりしろ」を随所に生み出していました。「からまりしろ」とは平田さんの著書「tangling」で示されている概念で、人・商品・植物・営みなどがからまる余地のある建築を意味しています、太田市美術館・図書館では内外からこの「からまりしろ」を感じられる構成となっています。
駅前ロータリー側には人を呼び込むテラスのある魅力的なカフェ・ショップがあり、その脇がメインエントランスとなっているため、何の気なしにとりあえず入ってみようと感じさせます。
メインエントランスからつらなる図書館・美術館スペースはスロープ状に層構成されているため、階毎に分断されることがなく、利用者の営みが連続的に感じられます。
図書スペースは書籍を探す動的なスペースと座って本を読んだり、階段に寝そべって過ごしたりできる静的なスペースが点在しており、その様子は外部からも伺い知ることができとても魅力的です。
スロープには外周部のスチールサッシュにバックマリオンを兼ねた柱が建っているだけで、動的な印象を妨げない表現となっています。そのため、スロープはどこにつながっているんだろうと思わせられ隅々まで探索しました。
この日は屋外のデッキに出入りすることができなかったことと、美術館の展示が行われていませんでしたが、カフェや図書スペースで思い思いに過ごし、休日の午後を楽しむことができました。
今後、この計画が拠点となり、第二、第三のからまりしろが生み出され、駅前がかつてのにぎわいを取り戻すことを願っています。
(文責:庄司)